鹿児島県大隅半島の
隠れ家「海鮮遊彩まえだ家」で
大隅産の地魚と志布志湾の
天然ハモを堪能する
鹿児島県大隅半島の中央東端に位置する東串良町にある
「海鮮遊彩まえだ家(以下まえだ屋)」は、観光客がほとんど来ない場所にある隠れ家のようなお店です。まえだ家は、地元の新鮮な食材を使い、季節ごとの旬の料理を提供することにこだわっています。

自然を感じる
落ち着いた空間
築100年以上の古民家の実家を店舗として改装したまえだ家の店内は、和の風情が漂う落ち着いた雰囲気で、個室の座敷や掘りごたつ式のテーブル席が用意されており、プライベートな時間をゆったりと過ごせます。家族での食事や、大切な人との特別な時間に最適な空間が広がっています。2階の大部屋では20名以上の団体で利用することもできます。

1Fのお部屋からは、美しい庭園の景色を眺めることができ、心を落ち着けながら食事を楽しむことができます。都会の喧騒を忘れ、ゆったりとした時間を過ごせる隠れ家のような空間です。
まえだ家では、地元で獲れた新鮮な魚を使うことに強いこだわりを持ち、その日の魚を一人ひとりのお客様に丁寧に提供するため、完全予約制で営業しています。
鹿児島市の天文館で寿司職人としての経験を積んだ店主が、地元の漁港でとれる新鮮な魚を厳選して、食材の持つ魅力を最大限に引き出すことに力を注いでいます。ブリやカンパチなど大隅産の魚を使ったお刺身や寿司を始め、各料理には細やかな職人技が光り、美しさと味の両方を兼ね備えた逸品に仕上がっています。

志布志湾の天然ハモを
堪能する「鱧づくし懐石」
まえだ家の特別料理「鱧(はも)づくし懐石」は、志布志湾で獲れた天然ハモをふんだんに使用した、季節感あふれる一品です。
店主は、まえだ家で提供しているハモには2つの旬があると感じています。
「一般的に言われている夏の旬のハモもよいのですが、卵を産んだ後に栄養を蓄え始める10月から12月の時期も絶品です。」
志布志湾で育った天然ハモは、旨味が濃く、弾力のある食感が特徴です。特に、まえだ家では、店主の親戚でもある地元漁師・岡本さんから直接仕入れた新鮮なハモを使用しているため、その味は格別です。

「鱧づくし懐石」では、ハモの湯引き、南蛮漬け、天ぷらなど、職人による丁寧な骨切りが施されており、さまざまな調理法でその美味しさを堪能できます。中でも湯引きは、ふっくらしたハモの身が口の中で弾力のある食感を楽しめます。特製の梅肉ソースや酢味噌が風味を引き立て、さらに食欲をそそります。
志布志湾のハモについて、店主に聞いてみました。
「ハモの身に透明感がありますよね。活かしで仕入れてきたものをしめたんです。
漁法によっては鮮度保持のために全部すぐに氷でしめるのですが、身が白く濁っちゃうんです。そうめい君(岡本さん)に生かした状態で持って帰ってきてもらうハモを使って気付いたのです。ハモは氷水に弱いんだなって。ちゃんと処理して保存すれば1週間近くいい状態で持つんです。でも最初の処理が悪ければ、その日に食べても弾力がなくて、まえだ屋のハモ料理としては出すのは厳しい。」
私たちは鱧シャブの出汁を飲み尽くしながら食材に対する情熱を受け止め、地元漁師との密接な連携が、地魚の魅力を最大限に引き出していることを強く感じました。

最後に、シメの雑炊の代わりに出していただいた釜揚げシラスの銀あん丼をいただきました。
「志布志湾ではハモのほかにシラスも有名です。釜揚げシラスは塩味があるので薄めのあっさりしたあんをかけて提供します。釜揚げシラスはそのままだと淡白すぎるため、桜エビのかき揚げや細切りにしたハモの天ぷらをのせた丼にします。
地元の食材を試行錯誤して料理をする店主は、どこか楽しそうにも見えました。
「コース料理の締めにはハモの一人鍋もぴったりです。ぜひ観光客のみなさんにも味わっていただきたいです。ただ、漁師さんに頼んで獲ってきてもらう必要があるので、予約は必須です」と店主は勧めます。
最近では、大阪から移住してきたお客様が、まえだ家の鱧料理を目当てに訪れることがありました。「大阪では淡路島まで食べに行っていたそうで、インターネットで探してうちを見つけてくれたんです」と店主は嬉しそうに話します。
産地で丁寧に処理された新鮮なハモは、一級品と呼べるほどの味わいです。ハモは繊細な食材です。生きたまま持ち帰ることやさばく技術の習得など、漁業・飲食業界ともに課題が多いですね」と店主は語ります。


地元の素材と
変わりゆく環境
店主は地元近辺で水揚げされた魚に詳しく、あまり出回っていない未利用魚も積極的に取り入れています。
「見た目が観賞魚みたいで敬遠される方もいますが、カゴカキダイは脂がのっていておいしいですよ」と店主は笑います。
鹿児島県や宮崎県ではブリやカンパチ、ヒラマサの養殖が有名ですが、その中でも志布志湾で辺塚だいだいを入れたエサで育てているカンパチは高品質です。
しかし最近、餌代や燃油代の高騰でカンパチの値段が上がり続けています。そうなると、高単価で売れる都市部中心の出荷に偏り、地元の魚が、地元で食べられなくなるかもしれません。
この地域では、「白アジ」と呼ばれる体高があって脂のりの良いマアジも獲れます。特に梅雨の時期の白アジは絶品で、豊後水道の関アジに匹敵する脂ののりと引き締まった身が特徴です。しかし、近年はその漁獲量も減少しています。

地産地消の海鮮料理で
ファンを増やしたい
お客様が良い魚を求めて訪れることで、料理人はその期待に応えるため、仲買人からより良い魚を仕入れようと努力します。仲買人も漁師に質の良い魚を求め、次第に生産者と飲食店が協力し、地元の魚を提供する文化が育まれます。「こうした流れで、大隅半島に新たな食文化が根付いてくれれば」と店主は展望を語ります。
昔は家庭でも魚を捌くのが当たり前でしたが、今では飲食店でさえも魚を捌ける人が減少し、仕入れた半身を切るだけというケースが増えています。
「どれだけ料理が美味しくても、お米がおいしくなかったらお客様は戻ってきてくれません。良い魚だけでなく、お米など料理に使う素材一つひとつを大切にし、大隅半島の地産地消を支える食文化のファンを増やしていきたいですね」
漁師の岡本さんが「この店に来たら、酔うのが勿体ない 」と言うほどの海鮮料理。大隅半島の東串良町まで、ぜひ足を運んでみませんか?完全予約制ですので、訪れる際はご予約をお忘れなく。
「鱧づくし懐石」のメニュー
● 鱧おとし
湯引きしたふわふわのハモの刺身を、特製の梅肉ソースでいただきます。
● 鱧焼霜造り
皮目を炙ったコリコリの食感が楽しめる生ハモ。薬味でさっぱりと。
● 鱧南蛮漬け
揚げたてを食べることで、ハモの身の柔らかさを最大限に楽しめます。
● 鱧シャブ鍋
骨だしスープにハモを10~20秒くぐらせて食べる、まさに絶品の一品。
● 鱧の天ぷら
厚みのあるハモの身をサクサクの衣で包み、食べ応え抜群。
● 鱧雑炊
鱧シャブを食べた後の〆に、雑炊を楽しめます。
基本情報
- 施設名
- 海鮮遊彩まえだ家
- 住所
- 〒893-1612 東串良町池之原72
Googleマップで見る - TEL
- 0994-63-2101
- 営業時間
- 17:30-22:00
- 定休日
- 不定休
- ウェブサイト
- https://www.maedaya-kaisen.com/